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【人事必見】事例から紐解く育児と仕事の両立のために本当に必要な支援とは?

育児と仕事の両立は、従業員にとっても企業にとっても極めて重要なテーマです。しかし、両立にはさまざまな課題が伴います。多様なニーズに対する柔軟な対応が不足していることが大きな壁となっており、職場でのサポートあっも、それぞれの状況に適した形で提供されるかどうか重要です。そのため、育児と仕事の両立を支援する仕組みやサービスには、より柔軟で個別に対応できることが求められています。

本記事では、現状や制度に触れながら、企業がどのように個別性の高い育児と仕事の両立をサポートできるのか、EAP(Employee Assistance Program)の相談窓口による支援事例も交えて、対応のポイントをお伝えします。

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目次[非表示]

  1. 1.育児と仕事の両立の難しさ
    1. 1.1.育児と仕事の両立の現状
    2. 1.2.両立支援のための制度
    3. 1.3.両立支援制度の利用状況
  2. 2.「育児と仕事の両立」を支える
    1. 2.1.なぜ両立がうまくできない?
    2. 2.2.当事者の声から考える支援の在り方
      1. 2.2.1.当事者と管理職への支援
    3. 2.3.個別性の高いケースへの対応のポイント
    4. 2.4.個別性の高いケースへのEAPによる支援
      1. 2.4.1.事例①:育児と仕事の両立に悩む30代のAさん
      2. 2.4.2.事例②:育休から復職する部下への対応に悩む管理職Bさん​​​​​​​
  3. 3.まとめ
  4. 4.サービス紹介
  5. 5.参考資料



育児と仕事の両立の難しさ

共働き世帯増加に伴い、育児と仕事両立が多く子育て世代にとって大きな課題となっています。社会全体で育児支援が進んでいるものの、仕事と育児の両立に困難を抱える従業員は少なくありません。その理由の一つは、育児の状況が個々によって大きく異なることです。子どもに関する状況や家庭環境、さらには親である従業員の業務内容や職場環境もさまざまです。したがって、職場で提供される一般的なサポートがすべての従業員に有効とは限りません。企業は個人の状況に応じた個別の支援を提供する必要がありますが、その実現は容易でありません。


育児と仕事の両立の現状

厚生労働省が2022年に実施した労働者調査によると、両立支援制度を利用しない理由として、性別を問わず以下の要因が挙げられています(※1)。

・制度に関する情報不足
・収入への影響
・担当業務に対する責任
・キャリアへの不安


さらに、これらの要因に加えて、

・他の人に迷惑をかけるかもしれないという周囲への申し訳なさ
・(男性の場合)育児は女性がやるべきものだというジェンダーの固定観念


なども背景として考えられます。

このように、育児と仕事の両立の背景にはさまざまな要因が存在しますが、当事者の状況や抱える課題などによってその理由は異なります。そのため、制度の整備だけで育児と仕事の両立が上手くいくとは限りません。

ここからは、具体的にどのような両立支援制度が存在し、それらが現在どのように活用されているのかについてお伝えします。



両立支援のための制度

現在、育児と仕事の両立を支援するための主な制度には、以下ようなものがあります。

育児 両立 制度


出産前後の制度としては、女性の産前休暇や産後休暇といった「産休」がありますが、近年では男性出産に立ち会い、育児に参加するため制度も整備されています。

乳幼児期には、育児休業(育休)や短時間勤務、子どもが病気になった際の看護休暇などが制度化されています。この時期は、子どもの健康や発達に対して気を配る場面が多いため、育休を利用して育児に専念するケースも一般的です。

子どもが就学する前には、多くの従業員が育休を終え、徐々に職場に復帰します。この時期は短時間勤務や看護休暇などを利用して、育児と仕事の両立を本格的に開始する段階です。

さらに、フレックスタイムやテレワークなどの柔軟な働き方が可能になったことで、育児と仕事を両立しやすい環境が整備されつつあります。ただし、制度は整備されていても、その利用率や使いやすさに課題が残っいるが現状です。



両立支援制度の利用状況

厚生労働省が2022年度に実施した企業調査によると、正社員による各種両立支援制度の利用率は、育休73%、短時間勤務54.1%、残業免除30.2%、男性の産休(配偶者出産のための休暇)27.3%です(※2)。また多くの正社員の大半が育休を利用している一方で、その他制度に関しては利用率がそれほど高くないことがわかります(※2)。

両立支援 利用状況

「育児と仕事の両立」を支える



なぜ両立がうまくできない?

育児と仕事の両立が難しい理由の1つは、両立支援のための支援制度や資源(資料や相談窓口など)があっても、それらを十分に活用できないことです。この課題を解決するためには、従業員に対して制度や支援の情報をしっかりと伝えるだけでなく、企業が積極的に支援の姿勢示し、助け合い文化育むことが重要です。またそのための制度や環境の整備も不可欠です


当事者の声から考える支援の在り方

一言に「育児と仕事の両立」といっても、個々人によって両立の障壁となるものは違います。しかしそういった個別性を丁寧に整理することで個人の抱える課題点を明らかにすることで、障壁を乗り越えることができると考えます。そのため、両立支援では個別性への考慮が大切です。

支援のあり方は「当事者への支援」と「管理職への支援」の大きく2種類に分類することができます。当事者への支援と管理職への支援両軸を中心に据えることで、制度効果的な活用を促進し、従業員満足度や生産性向上させることができます。



当事者と管理職への支援

育児と仕事の両立を実現するためには、当事者だけでなく、管理職への支援も欠かせません。当事者も管理職も制度の詳細を十分に理解していないケースが多いため、適切なタイミングで制度をリマインドし、普段から制度に関する情報提供することが重要です。

また、従業員がどのような状況にあり、どんな課題を抱えているのかを細かく把握し、その個別性に配慮した情報提供や支援行うことでより効果的なサポートが可能なります。

管理職への支援では、単なる制度の情報共有だけでなく、部下へ個別対応方法やフォローアップ具体的な手法も含めて指導することが求められます。これにより、管理職が従業員の両立をしっかりと支援できる体制が整います。



個別性の高いケースへの対応のポイント




状況の整理
対応の第一歩は、当事者が抱える問題や置かれている状況を整理することです。個別性の高い育児と仕事の両立状況を丁寧に把握することで、当事者にとって最も効果的な支援あり方を検討することができます。


環境調整
育児と仕事を両立できる環境を整えることは、両立支援において非常に重要なポイントです。従業員一人ひとりの家庭環境や職場の状況を把握することで、個々ニーズに応じた適切な支援が可能になります。


心理的負担へのケア
育児と仕事の両立は、物理的な負担だけでなく、心理的な負担も大きくなります。当事者は家庭と職場の双方で責任を感じることが多く、精神的なストレスを抱えることも少なくありません。そのため、心理的負担に対するケアとして、メンタルヘルスの専門家によるカウンセリングを提供することが効果的な場合もあります。



個別性の高いケースへのEAPによる支援

ピースマインドが提供するEAP相談窓口では、従業員一人ひとりの状況に応じた支援が可能です。ここでは、実際のEAPを活用した具体的な支援事例を紹介します。


事例①:育児と仕事の両立に悩む30代のAさん

Aさんは小学校3年生の子どもを持つ30代の従業員で、フルタイムで勤務しています。業務量が増加したことで育児にかける時間が減り、ストレスを感じるようになりました。次第にメンタルヘルスにも影響が出始め、育児と仕事の両立に悩んでいました。



対応策
EAPカウンセラーは、Aさんの状況をヒアリングして問題の整理を行いました。Aさんが抱えていた主な負担は、育児と仕事のバランスにありました。カウンセラーは、優先順位の整理をサポートするため、まずは時短勤務や在宅勤務など、Aさんの勤務先で利用可能な社内制度を確認し、それを基に会社と相談するよう助言しました。また、Aさんが居住している地域で利用できる社会資源に関する情報を調べ、問い合わせてみることを勧めましさらに、心理的サポートとして、ストレスマネジメントの方法も併せて提案しました。


結果
会社の協力により、Aさんは柔軟な働き方を実現し、少しずつストレスを軽減することができました。また継続的なカウンセリングを受けることで、今後の両立に関する課題への対処法も習得しました。



事例②:育休から復職する部下への対応に悩む管理職Bさん

管理職のBさんは、育児休暇から復職する部下のCさんの業務分担に悩んでいました。Cさんは時短勤務となる一方で、チームの負担増加や不満が出るのではないかという不安を抱えていました。



対応策
EAPカウンセラーは、BさんとCさんの面談を通じて課題を整理しました。復職直後の業務配分を見直し、必要に応じた業務調整の実施と定期的な面談を決定しました。さらに、チーム全体の役割分担を調整し、チームの協力体制を強化しました。その際、互いをサポートし合える体制を作るために、コミュニケーションの在り方に焦点を当て、Cさんだけでなくチーム全員が互いにフォローし合うことで働きやすい関係性築くこと目標しました。


結果
Bさんの丁寧なサポートとチームメンバーの協力により、Cさんの復職は比較的スムーズに進みました。必要に応じて相談や調整を行いながら、Cさんは大きな支障を感じることなく、仕事と育児の両立に前向きに取り組むことができました。その結果、チームの一体感も以前より強まることとなりました。



まとめ

本記事では、個別性の高い育児と仕事の両立のポイントについてお伝えしました。従業員一人ひとりの状況に合わせた柔軟な支援が、両立を成功させるために不可欠です。企業は、当事者との対話を通じて当事者との対話を通じて個々ニーズを理解し、適切なサポートを提供する環境整えることが大切です。


サービス紹介

EAP(従業員支援プログラム)とは、はたらく人の「はたらくをよくする®」ために、心理学や行動科学の視点から職場のパフォーマンス向上に向けた解決策を提供するプログラムです。専用ホットラインや予約制カウンセリング(対面・電話・オンライン対面)を通じてさまざまなサポートを行います。職場内での不安や悩み、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが必要な際など、幅広いシーンでご活用いただけます。

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参考資料

※1 厚生労働省「令和4年度 仕事と育児の両⽴等に関する実態把握のための調査研究事業 労働者調査 結果の概要」
※2 厚生労働省「令和4年度 仕事と育児の両⽴等に関する実態把握のための調査研究事業 企業調査 結果の概要」


後藤 麻友(ごとう まゆ)
後藤 麻友(ごとう まゆ)
ピースマインド株式会社  社員支援コンサルティング部 部長 EAPスーパーバイザー 公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント(CEAP)  臨床心理学の修士号を取得後、ピースマインド株式会社に入社。EAPコンサルタントとしての臨床業務の傍ら、研究、研修、サービス開発にも従事。現在は、主にコンサルタントのマネジメントや育成支援を行っている。

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