導入事例
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様

WBL ケンブリッジ トップ

”プロジェクトでのハラスメントは許容しない”
リスペクトを共通言語にオープンな話し合いで課題を解決する
企業カルチャーで、心理的安全性が高く働きがいのある職場環境を実現

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社様

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社
アソシエイトディレクター
大塚 勇 様
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(以下、ケンブリッジ)様は、「世の中を変えるファシリテーター」というミッションを掲げ、会社や組織、業務を変革したいお客様を、プロジェクトの立ち上げから成功まで「End to End」でサポートするコンサルティング会社です。話し合いで解決する風土をお客様と共につくり、心理的安全性の高い環境でファシリテーション型変革コンサルティングを実現する手段の一つとして「リスペクト・トレーニング」を導入しておられます。詳しいお話を、アソシエイトディレクターの大塚 勇様にピースマインド代表取締役社長の荻原英人と研修部 部長でリスペクト・トレーニングのファシリテーターである田中秀憲が伺いました。


お客様にサービスの価値を最大限に提供するためには、
カルチャーの共感と相互にリスペクトがある関係構築がマスト

荻原 ケンブリッジ様は、「世界中のプロジェクトの常識を変える」というビジョンを掲げられ、プロジェクトの提案時に自社のポリシー(*1)をクライアントに示し、同意を得てからプロジェクトをスタートしていらっしゃいます。とてもビジョナリーだと感じますがその意図を聞かせてください。
大塚様 お客様にケンブリッジの価値を最大限に感じてもらうためには、ケンブリッジのカルチャーに共感していただき、同じ目線で一緒に働くことが大事だと考えています。過去には、目線が合わないお客様とのプロジェクトがうまくいかなかったこともありました。プロジェクトを成功させるためには、お互いにカルチャーに共感しあえる関係性を築くことが必須です。

私たちは、お客様とパートナーの関係を築きたいと考えています。言いにくいことでも言い合える関係性にならないとコンサルタントとしての価値を発揮できません。

そういった考えで、行動規範として「OPEN」や「リスペクト」を掲げており、常に目に留まるオフィスの壁面にもそれが書かれています。また、ケンブリッジの経営方針やお仕事をご一緒される際のポリシーについてもコーポレートサイトに具体的に掲載しています。
荻原 ポリシーをオープンにした反響はありますか?
大塚様 まず、社内でお客様と接する際の意識づけができました。また、あるお客様からは「私も同様のハラスメントの経験はある。だからそういう関係性を変えていきたいと思う。パートナーとして関係を構築していきたい」と共感していただくことがありました。さらに、中途採用の応募者からも、ポリシーの内容に共感してしてもらえたこともあります。
荻原 お客様と共にリスペクト・トレーニングを受けるのは非常にユニークな取り組みだと思います。導入された背景を聞かせてください。
大塚様 私たちは、社員はもちろん、お客様のプロジェクトメンバー、協力会社やベンダーであっても、ハラスメントに類する振る舞いは許容しません。むしろお互いへのリスペクトこそがプロジェクトを成功させるために必須だと考えています。社員を守るためでもありますが、ハラスメントが横行する状況はプロジェクトが成功しやすいカルチャーではないと考えているためです。

生産的で健康的なプロジェクトをお客様とともに作るために、プロジェクトのスタートにあたり、ケンブリッジの社員とともに、お客様コアメンバーやプロジェクト関係者にもハラスメント防止を目的とした「リスペクト・トレーニング」に参加していただくことを決めました。
WBL ケンブリッジ ポリシー
ケンブリッジ様のOur Policy(*1)
荻原 ケンブリッジ様のポリシーを拝見して、ハラスメントは絶対に許容しないという会社としての強い意志を感じました。
大塚様 あるプロジェクトでケンブリッジの社員からお客様の高圧的な振る舞いに苦しんでいるという主旨の相談を受けたことがありました。色々な関係者とお話させていただいたのですが、お客様に悪気があったわけではありませんでした。むしろ、お客様社内では「当たり前」のコミュニケーションだったのです。一方、ケンブリッジにとっては「当たり前」ではなく、高圧的なコミュニケーションでした。これは、会社間のカルチャーの違いで、根深いものだと感じました。
荻原 いま話題のカスタマーハラスメントのグレーゾーンにあたる事象ですね。
大塚様 そうですね。但し、一方的にどちらが悪い、という問題ではないと感じました。互いにとっての価値観・カルチャーの違いの問題で、問題が発生した後にそれを分かり合うのは困難でした。今後、同じようなプロジェクトを作らないためには、問題が発生する前、つまり、プロジェクト開始前に対策が必要だと痛感しました。

また、私自身の経験なのですが、身近な人が仕事が原因で長らくメンタル不調に陥ってしまったことがありました。「社会に貢献しようと頑張っている人が、なぜ不調にならなければいけないのか。多くの人が同じように苦しんでいる状況を考えると、世の中を変えていかなければいけない。」という思いが私の中にあります。

ハラスメント対策について調べてみると、個人での予防やケアの方法は多く見つかるのですが、組織へのアプローチはなかなか見つかりませんでした。いろいろと探していく中で、ようやくリスペクト・トレーニングを見つけました。

ケンブリッジは、「世の中を変えるファシリテーター」というポリシーを掲げているので、私たちがやるべきことはこれだ!と思い、リスペクト・トレーニングの導入を決意しました。
WBL ケンブリッジ 大塚

リスペクトはあるけれど遠慮はないコミュニケーションが
プロジェクトを成功に導く

荻原 リスペクト・トレーニングに参加した皆様の反応はいかがでしたか?
大塚様 お客様からは、「リスペクト・トレーニングは全社員にやった方がいいと思った」、「他の取引先ともリスペクト・トレーニングをやりたい」、「お互いに遠慮なくかつ配慮して会話できる関係性が続くようにしたい」といったポジティブな感想をいただいています。

トレーニング後、ネタのような感じで、「それってリスペクトないよね?」とお客様に指摘できる関係性がつくれそうという感想をもった社員もいます。お客様と一緒にトレーニングを受けることに意義があると実感しています。
荻原 お客様と一緒にトレーニングを受けることは非常に先進的ですが、実施することに対するお客様の反応はいかがでしたか?
大塚様 「ハラスメント防止」という言葉のインパクトが大きいので、正直なところお客様によっては導入が難しい側面もあります。やはり関係性が構築される前に実施することが大事ですよね。


荻原 「これまでうまく関係性を築いてきたのに、ハラスメントしているってこと?」とマイナスに捉えられてしまう可能性もありそうですよね。


大塚様 そうですね。リスペクト・トレーニングに前向きでない企業が一定数いらっしゃるだろう、とは思っています。但し、それがリトマス試験紙のように、ケンブリッジのカルチャーがフィットするかしないかを測る指標の一つになると考えています。


荻原 トレーニング実施中、印象的な参加者の言動などありますか?


大塚様 お客様先のプロジェクトオーナーの役員が参加されていた回ですね。ケンブリッジの社員が、「お客様にグレーゾーン的な振る舞いがあっても、自分たちからは指摘しにくい」と発言したら、役員が自ら「遠慮なくどんどん言ってください」と発言してくれたんです。ファシリテーターの田中さんが、ディスカッションの中でこの発言をうまく引き出してくれました。リスペクト・トレーニングの効果を確信した瞬間でした。


田中 この人は本音で語っていると感じられる役員の方の口調がとてもよかったですね。言いやすい雰囲気をつくってくれました。トップがメッセージを伝えることは重要です。あの発言がでたことに関して、ケンブリッジの社員の方が諸手をあげて感謝された姿も印象的でした。

女性管理職が自己開示してくださった回も印象的でした。職場での自らの強いリーダーシップから柔軟なリーダーシップへの行動変容の実体験を語ってくださいました。その会話の様子を見ていて、チームのメンバーが良い関係性を築いていらっしゃることが感じ取れました。


大塚様 普段、そういったリアルな経験談を聞くことや、ダイレクトにハラスメントやグレーゾーンについて話し合う機会はないですよね。それをプロジェクト開始前に話す大事な機会がリスペクト・トレーニングだと実感しています。その場で話し合って改善を促す習慣が身につくといいなと思います。
荻原 ファシリテーターの視点で、ケンブリッジ様とそのお客様に実施したリスペクト・トレーニングの特徴などありますか?
田中 ケンブリッジ様のすごいところは、リスペクトはあるけど遠慮はないコミュニケーションです。それが皆さん例外なく自然とできること。これは本当に素晴らしいと思います。

受注者であっても、発注者である顧客の前で、堂々と自分の意見を言い合える方ばかりです。あの態度は日本国内の仕事場面では、まだまだとてもレアな態度だと思います。本当に対等のパートナーであるという姿勢を実際の発言を通して、体現されています。私はファシリテーターを務めていて、胸がスカッとするような感覚を何度も味わいました。それはおそらく関係者の方も現場で感じているだろうと推察しますし、それがゆえにプロジェクトが忌憚のない透明性の高い意見を元に前に進んでいくのだろうと推察できます。

また、あるときケンブリッジ様の顧客向けオンラインセミナーに参加したのですが、開始前の社内メンバーだけでの内輪話が、顧客がどんどん入室してもそのままの内容で続いていて、気にかけた参加者の方が「会話が全部、参加者にも聞こえていますが大丈夫ですか?」と心配の書き込みをされました。しかし、内輪話が止まることはなく「ケンブリッジはいつもこんな感じなので、大丈夫です。よかったらそのまま聴いていてください」とセミナー主催者の方が自然体で語ったのには、びっくり仰天しました。顧客が入室したら、黙るというのが通常なので、本当に驚きました。

なぜ、あんなに顧客の前でもオープンでいられるのですか?社員の方全員がそうなんですか?入社の時に選別されるのですか?
大塚様 入社の時には同じカルチャーを共有できそうな方を選びますが、必ずしも全員が最初から透明性の高いコミュニケーションができるわけではありません。ケンブリッジに入社後、先輩たちの会話に入っていき、自然と社内の打ち合わせで話す内容と顧客との話の内容にわけへだてなく、話せるようになるようです。
田中 ケンブリッジ様では自分たちがどのような行動指針で仕事をすすめるのかをウェブや社内の壁に言葉で書き連ねていらっしゃいますね。言葉で情報開示を率先していることが社員にも良い影響を与え、自然とオープンネスが高くなると言えませんか?
大塚様 はい、その通りです。言語化すること、言葉で全部書くことを社内で強く意識しています。社内での行動規範もとても長い文章で詳しく説明があります。
WBL ケンブリッジ リスペクト

カルチャーは人材製造機
リスペクトを共通言語に組織や会社間の分厚い壁に穴をあけ、
人材を育てる


荻原
 リスペクト・トレーニング実施後に新たに見えた課題はありますか?
大塚様 効果はこれから検証していくところです。今後は、新規案件だけではなく既存顧客に対してもなにかアプローチできないかと考えています。プロジェクトが拡大して関係者が増えるタイミングに導入することを検討しています。
荻原 リスペクト・トレーニングに限らず、企業におけるハラスメント防止の取り組みにおいて、トップからのメッセージは非常に重要です。ケンブリッジ様はビジョンやフィロソフィーの発信に長けていらっしゃいますが、トップメッセージを社員やお客様に発信する際に工夫しているポイントを教えてください。
大塚様 ケンブリッジは、社長がすべてを決めるのではなく、社員が全員で考え、決めていく文化です。会社は情報をオープンにしなければいけないし、社員はそれを踏まえて個々に考えて行動する必要があります。
荻原 ポリシーの作成にも社員がかかわっていると聞きました。
大塚様 人事等のセンシティブな内容を除いて、経営陣の会議内容もオープンになっています。ポリシー作成時も誰が入ってきてもOKで、自由に議論ができる場でした。
荻原 本当に全部オープンなのですね。
大塚様 リスペクト・トレーニングの導入も、会社からアサインされて始めたのではなく、私がやりたくて会社にプレゼンして実現した取り組みです。経営陣も後押ししてくれる文化なので新しいことにチャレンジしやすい環境です。

カルチャーは、人材製造機のようなものだと思っています。私たちのカルチャーの中で働いていれば自然にオープンでリスペクトのある人材になりますし、例えばパワハラが常態化した環境であればパワハラ気質のメンバーが増えるリスクが上がるかもしれない。良い人材を育てるカルチャーの一環として、リスペクト・トレーニングを活用させていただいています。
荻原 働きがいのある会社ランキング(*2)で常に上位のケンブリッジ様ですが、大塚様にとっての「はたらくをよくする®」とは、どのようなことですか?
大塚様 OurPlicyに繋がるのですが、プロジェクトを成功させることがケンブリッジの仕事です。なので、はたらくをよくしないと仕事がよくならない。どちらかをとるのではなくアンド条件です。

リスペクト・トレーニング導入の最大のメリットは、発注者と受注者の壁や組織の壁に穴をあけられることだと思います。ハラスメントのようにセンシティブなことには壁を作ってしまいがちです。リスペクト・トレーニングは、組織や会社間の分厚い壁に穴をあけるすごい突破口だと思います。リスペクトについて考えて語り合う共通体験を通して、リスペクトという共通言語を持つことには大きな意味があります。

発注者が働きやすい職場環境づくりへの意識が高いとは限らないので、受注側から上げていくことが大事だと考えています。リスペクト・トレーニングはもっと世の中に広まってほしいと思います。そして最終的な理想は、リスペクトの文化が浸透して当たり前になり、このトレーニングがなくなることだと思います。
荻原 これからもケンブリッジ様のプロジェクト成功のパートナーとして、弊社も尽力していきます。本日はありがとうございました。
WBL ケンブリッジ 集合写真

*1 ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社のポリシー
https://www.ctp.co.jp/company/policy/#anchor

 

*2 働きがいのある会社ランキング
https://hatarakigai.info/

大塚 勇(おおつか いさむ)様 プロフィール

新卒でSIerに入社し、メガバンク向けのシステム開発を経験。2011年にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズにコンサルタントとして入社し、業務改革・システム導入・新規事業開発を支援。コンサルタントとしてプロジェクトで働きながら、リスペクト・トレーニングの社内導入に取り組む。
社名 ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社
事業内容

会社や組織、業務を変革したいお客様を、プロジェクトの立ち上げから成功まで「End to End」で

サポートするファシリテーション型変革コンサルティング

設立

1997年6月

従業員数 188名 (2023年4月現在)
URL  https://www.ctp.co.jp/
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