【EAP導入を検討しはじめた方へ】EAP導入で押さえておきたい3つのポイントを解説!
働き方改革や感染症の流行に伴い、多様な働き方が認められるようになった近年、職場でのメンタルケアの重要性が増しています。
心理の専門家がカウンセリングやコンサルティング等を通して従業員個人、組織を支援するEAP(従業員支援プログラム)は、そういったメンタルケアの手段の一つですが、EAP導入にあたり、「導入のイメージを具体化できない」「意識・注意すべき点を理解できていない」「どのように検討を進めていくべきか分からない」という悩みを持つ人事の方もいるかもしれません。
この記事では、内部EAPと外部EAPの違いや導入時のポイントや注意点を解説します。
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EAPの特徴とメリットとは?基本をおさえる
EAPは個人や組織の側面から問題解決を図る
EAP:Employee Assistance Program( 従業員支援プログラム)とは、パフォーマンス(組織・個人の生産性)の維持・向上を目的として、従業員とその家族が抱える様々な課題・不安を解決する為の専門的な支援を提供するインフラのことです。
EAPの具体的な内容は、個人向けのカウンセリング、人事や管理職向けのコンサルテーション、職場のクライシスケアなどがあります。
EAPの特徴は、個人アプローチと組織アプローチの2つです。個人アプローチでは、カウンセリングやストレス状況の把握をします。一方、組織アプローチでは、企業の課題が従業員のパフォーマンスやメンタルヘルスの問題に影響するという考えのもと、専門家のコンサルティングを通して職場環境の改善等々を支援します。
例えば、ピースマインドでは、社員個人のカウンセリングの過程で、課題解決に向けてその方が所属する組織の管理監督者や人事労務担当者に対し、必要な情報の共有・連携を取ることで、本人と組織支援・リスクマネジメントに繋がる場合には、組織アプローチも視野に本人と話し合います。
組織アプローチという点では、社員対応・マネジメントにあたる管理監督者や人事労務担当、社内の専門家(産業医、産業保健スタッフ等)が抱える課題やこれまでの対応を踏まえて、今後の支援に向けたコンサルティングを実施し、課題解決・リスク低減まで伴走いたします。
※EAPベンダーやご契約プランによって対応範囲は様々です。
外部EAPを導入する4つのメリット
EAPには大きく分けて、内部EAPと外部EAPの2種類があります。
内部EAPは、企業内にEAP専門スタッフが常駐し、従業員の相談に対応することです。一方、外部EAPは、専門的な知識を有する各種の事業場外サービスを指します。
外部EAPのメリットとして、対象が従業員のみではなくその家族も含まれる場合が多いため、夫婦やパートナー間・親子関係をはじめ家庭の課題・事情を抱えている場合に、家族を含めた従業員の個人環境を総合的に支援する点があります。
また、内部EAPを一から設置する場合と比較して導入までの時間や費用が抑えられる点、社外での相談が可能なため、労働者が事業場内での相談等を望まないような場合に利用しやすい点、企業が心理の専門家からのコンサルティングを受けることができる点などが挙げられます。
EAPの概要やカウンセリングの流れを知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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ポイント① チェックリストで確認!EAP導入後をイメージする
まずEAP導入でポイントとなる点は、「導入後のイメージを具体化する」ことです。
それにより、「導入したけれど実際の利用につながらない」という制度の形骸化を防ぐことができます。目的は導入ではなくEAP活用による課題解決なので、どのように活用していけるかを考えることが大切です。
以下の点をチェックしましょう。
役割分担、フローが明確になっている
1つ目は、役割分担や利用フローです。
誰がどこまで役割を担うかをEAP会社の営業担当に相談しながら導入イメージを固めていくと、活用の流れがより具体化されイメージしやすくなります。
例えば、内部EAPを利用しておらず外部EAPのみ導入する場合、利用前(周知・アクセス)から、利用中、利用後(アフターフォロー・情報共有)、緊急・リスク時の対応まで、従業員支援全体の概要と、EAPコンサルタントや企業の担当者との連携をチェックすると良いでしょう。
それに加えて、内部・外部EAP両方を利用する場合は、両者の担当範囲や連携の流れを確認し明確にすることが重要です。社内窓口と社外窓口を担当範囲により区別することで、双方の負担を低減できます。
EAP会社によってサービス内容・専門・得意とする支援に特徴があるため、役割・フローという視点でEAPサービスを比較すると良いでしょう。
一例として、ピースマインドは以下の相談に対応しています。
・クライシス支援
当社のEAPコンサルタントはクライシス支援も対応可能です。具体的には、突然の大きな変化・出来事(事故や災害をはじめ人命に関わること、事業統廃合などの組織変化)に晒され、影響を受ける企業や従業員・家族に対し、個別カウンセリングやグループ心理教育といった従業員支援を行います。
クライシス支援は、外部EAP導入時にあまり重要視されないこともありますが、変化の大きい時代には、企業における人的資本へのBCP対策として重要な役割を果たします。
実際、予期せぬ出来事の発生に初めて対応する際に当社のEAPを利用したケースでは、「当事者である従業員のリスクスクリーニングと、今後のマネジメント・事業活動を行う上で望ましい対応についてアドバイザリーを受けることができ、個々の社内の対応について支援をうけられて良かった」という声がありました。
専門家のサポートを得ながら社内対応がスムーズにできたことで、対応者の心理的負荷と業務への影響を抑えられ、社員の信頼を損なうことなく立て直しが図れた事例です。
・家庭問題
当社のEAPは、家庭問題へも対応しています。
家庭生活の悩みを解消することは、仕事のパフォーマンス改善につながります。
家族・パートナーの不仲、離婚問題、死別の体験と向き合うための心理支援をはじめ、特に子育て世代は仕事と育児の両立に悩む人も多くいます。働きやすい環境・モチベーションを整えるために個人・周囲のサポートを得たり、社内制度や公的機関・支援サービスの活用したりして、一緒に考え・解決できる場を設けることは、従業員支援・ダイバーシティ推進の観点からも非常に重要といえるでしょう。特に、社内には相談しにくい事情を相談できる外部の専門家のカウンセリング窓口を整備することで、家庭の問題を抱える人にとって相談しやすい環境をつくることができます。
・適切な情報を提供する、専門機関へつなげる
当社では、EAPカウンセラーがカバーしていない、法律相談や医学的な治療など、心理の専門分野でない事柄に関して、適切な情報提供・機関に繋げることができます。
カウンセリングでは、自分に起こっている事や考えている事などについて、カウンセラーがお話を伺い、会話の中で、ご自身の課題を客観視して、ご自身の力で課題を整理し、解決していくお手伝いをします。課題の整理を進めた結果、より専門的な知識や窓口への相談が必要な場合は、適切な窓口におつなぎすることができます。
EAPの導入目的を明確にする
EAPは、悩みを抱えている従業員へのメンタルケアだけではありません。
EAPが以下のような様々な役割を果たすことを念頭に置き社内利用を考えると、利用方法・目的が広がります。
・自己理解・学びの機会
EAPのサービス内容には、一次予防~三次予防のためのカウンセリング、メンタルヘルスチェックだけでなく、啓発のための研修・セミナーの実施などがあります。
ハラスメント、部下とのコミュニケーションなどに関して理解を深めたい従業員や管理職のリテラシー向上を図ることができます。
・セルフケアマインドの醸成
特に新卒社員は、社会人として一から学ぶ過程で、変化やギャップに直面する機会も多いため、ストレスマネジメント(セルフケア)教育を設ける企業も多いかと思います。その際に体験カウンセリングを実施するケースもあります。ストレスチェック実施後のフォローアップとしても効果的です。
個人的な悩みやトラブルがない場合でも、カウンセリング体験をしておくことで、避難訓練のように、いざ悩みやトラブルが発生した時に相談方法を把握できているため利用しやすいという効果があります。メンタルサポートの存在や利用法を従業員に周知することができます。
・マネジメント支援
自分自身について悩みというよりも、組織内外の調整や部下対応で頭を抱えた経験のある管理職は多いのではないでしょうか。EAPの人事管理職相談を活用することで、管理監督者が現場で個別に抱える問題について、評価者ではない第3者の立場であるEAPコンサルタントに相談で、対応策について一緒に検討できる窓口は、組織の下支え・ハラスメントリスクの予防対策においても有効です。
また、ストレスチェックの集団分析結果より組織課題の分析と、職場改善施策の検討・実行支援にも活用いただけます。
これらのような目的と照らし合わせながら、自社のEAP導入目的を明確にすると良いでしょう。
ポイント② EAP担当者に相談し、課題・解決法を理解する
ポイント2つ目は、営業担当をはじめEAPの特徴・活用事例に理解のあるEAP担当者に相談しながら利用イメージを具体化していくことです。
外部EAPは単に契約・開設して終わりにするのではなく、営業担当やEAPコンサルタントがパートナーとなって伴走する点が特徴的です。導入検討の段階で、営業担当が顧客にヒアリングし、企業の課題・現状の体制を鑑みて、具体的なアプローチを提案していきます。その結果、現状は社内体制の見直し検討で済む場合もあります。
これまで紹介した外部EAPの特徴や利用について考えていくときには、営業担当と共に課題を明らかにして、導入・運用の詳細の落とし込み、費用対効果についてイメージしていくと良いでしょう。
会社によって課題と体制は様々なので、EAP導入の目的、実際の活用法も異なります。いくつか活用事例を紹介します。
事例① 社内の相談窓口体制に加え、社外にEAPを設置し、社内窓口との役割分担を明確化
この企業では、育児休暇から復帰した社員が仕事と子育ての両立について悩みを抱えるケースが増えており、育児復帰の先輩との交流会や、社内相談員による従業員支援を実施するも、専任ではなく他業務との兼ね合いからタイムリーな支援がしにくい、同じ社内ということもあり踏み込んだ相談・支援が出来る関係性にないことが課題でした。そこで仕事と子育ての両立に関する社外相談窓口として、外部EAPを活用することにしました。
導入検討にあたり、有志による社員十数名に対してトライアルで相談利用いただき、利用後のアンケート調査から、想定するニーズ・目的に対してサポートが適切か・ギャップがないかを、営業担当者とEAPコンサルタント、企業側の事務局と話し合います。利用者の満足度が高かったことや、企業の状況に沿った柔軟な運用体制を構築したことを評価いただき、導入に至りました。
また、運用体制やプロモーションを検討し、社内ポータルサイトへの掲載や、定期発信のコラムに窓口情報を案内することに加え、産休・育休に入る対象者への案内資料の中に利用冊子を挟む等、ピースマインドのEAPにつながるようにフローを設定しました。
家族構成や家庭事情、雇用形態や職種、年齢、キャリアビジョン等、異なる状況にある従業員とその家族を、それぞれに合った形で働きやすい土台を整えるにあたっては、社内制度の確認をはじめ共有・連携が必要な部分は社内部門へ繋ぎつつ、個別にサポートすることで、社内対応の役割と工数の最適化を実現しました。
事例② 社内ポータルサイトを活用し、社内外の相談窓口の周知や啓発活動をサポート
こちらの企業では、働く女性ならではの健康上や仕事と育児の両立の悩みが顕在化しているという問題がありました。特に女性疾患で不調をきたしている従業員が多い状況で、悩みを抱えた従業員が相談をすることができず、体調を崩してしまったり、パフォーマンスが低下していました。
そこで、社内ポータルサイトを活用して、社内外の相談窓口の周知や利用を促すための啓発活動を企画しました。
社内で増加している女性疾患の不調について、健康推進室の担当者が当社のEAPコンサルタントにインタビューするシリーズ企画を実施し、社内ポータルサイトのトップページに社内外の相談窓口、EAPコンサルタントへのインタビュー企画を掲載しました。
社内ポータルサイトから窓口へいつでもアクセスできるということを周知することで、相談窓口の活発な利用、社員の理解度向上を図ることが可能です。
また、女性従業員だけでなく、男性従業員にも女性が抱える課題について理解を深めることにつながりました。
様々な導入事例を知ることで、活用イメージを具体化させたり、活用方法を広げることができます。他の事例を知りたい方は、ぜひこちらをお読みください。
ポイント③ コストと効果が釣り合っているか
ポイント3つ目は、費用対効果です。
導入検討時、人事の方は現場の従業員と経営者の両方の視点で判断をしていく必要があるかと思います。実際に現場でどのように利用するかを掘り下げた後、導入の妥当性を考慮し会社に説明することを求められるケースも多いでしょう。
多くの企業担当者にとって費用は導入のネックになります。
メンタルヘルス不調は、同じ症状でも個人差が大きく、背景にある事情も様々であるため、どのような対処がどれ程の効果を生むのかという予測がつきにくいものです。また、企業によって課題や解決法が異なるため、費用対効果を一概に明示することは難しいですが、EAPを利用することで、ストレス状態の改善と生産性向上に大きな影響を与えることが明らかになっています。
当社のEAPサービス導入企業のストレスチェックデータを用いて、3年間継続して導入している企業の社員とそうでない企業の社員のストレス度を比べ、EAPの導入効果を分析しました。
分析結果では、EAP導入2年後のストレス度に約1.1ポイントの改善が予測され、EAPの導入によって約4300万円の純利益、約10.8億円の企業価値向上につながることが分かりました(※1)。
EAPサービスを提供する会社により、導入・ランニングコストやカウンセリングの年間使用可能回数など様々です。しかし、価格重視で選んでも、解決力がないとEAP導入の意味がありません。
そのため、定量的な効果を見込み、「実際に自社の従業員が活用しやすいサービスなのか」「自社の課題が本当にその会社のEAPで解決できるのか」を意識してサービスを選ぶことが重要です。
まとめ
EAPの特徴は、個人向けのカウンセリングやストレス状況の確認に留まらず、職場調整やマネジメントの改善など企業内の課題を支援することです。
役割分担・フロー、サービス内容、導入目的をチェックすることで、活用イメージを具体化していくことができます。また、EAPサービスが多岐にわたること、組織の課題整理は難しいことから、EAP利用方法や費用対効果は営業担当に相談しながらご検討ください。
「はたらくをよくする®」ピースマインドのEAPサービス
ピースマインドの従業員支援プログラムでは、従業員が抱える問題を、経験豊富で専門知識を持ったEAPコンサルタントに相談し、アドバイスのもと、課題を組織的に解決することができます。
相談方法は、「専用ホットライン」「予約制カウンセリング(対面・電話・オンライン対面)」などがあり、お気軽にご相談して頂くことができます。組織へのアプローチでは、経営課題、人事課題、組織目標に応じて、「セルフケア・プラン」「ラインケア・プラン」「スタンダード・プラン」など多様なプログラムから選ぶことができます。
また「社員のストレス問題を解決する」のみならず、「職場組織の改善を通じて、社員の生産性を高める」ためのワーク・エンゲージメントに特化したプログラムもございます。職場内やご自身に不安や悩みがある際や、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが欲しい時など、様々な場面でご活用をご検討ください。
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