後編|EAP(従業員支援プログラム)は本当に効果がある?事例を用いて解説【人事・管理職編】
本記事はこちらの記事の後編になっております。よろしければ前編からご覧ください。
従業員支援プログラム (Employee Assistance Program、以下EAP) とは、職場のパフォーマンスを向上させるために、心理学や行動科学の観点から「はたらく人」と「企業」に解決策を提供するプログラムです。
EAPについて基礎知識はあるけれども、実際どのように活用されているのかイメージがわかない、という人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事ではピースマインドのEAP導入事例を用いてその効果をお伝えし、担当者の皆さまにEAPの具体的なイメージを掴んでいただければと思います。
前編では社員の方々からの相談ケースを紹介しました。後編となる今回は、管理職や人事の方から当社に寄せられた相談ケースを紹介します。
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EAPは人事・管理職の方からの相談にも対応可能
休職など対応が困難なケースに伴走できる
職場復帰は企業や休職者、その家族にとって重要な課題です。職場復帰直後は本来のパフォーマンスを発揮できない焦りなどから、精神疾患の再発・再休職のリスクが高いとされています。再び休職となると今度は離職ということにもつながりかねません。かつ、人事担当者の方の手が回らないという声もあります。
ここでは、社員の休復職に課題があり、EAPを活用して継続的に就業ができるようになったケースをご紹介します。
Case3:休復職を繰り返す社員にどのように対応をすれば良いでしょうか?
<問題とこれまでの経緯>
復職後に一定期間勤務した後、再休職するという状況を繰り返している社員について、人事の方から相談がありました。人事職の希望は、「社員の方が再休職することなく、継続して勤務できるよう支援してほしい」とのことでした。
<ピースマインドによる支援>
休復職を繰り返している社員との相談の場を通して、本人が休職に至った理由について理解を深める機会を設けました。また、上司や人事担当者、産業医と連携し、再休職しないための方策を一緒に考えました。復職後は当社のコンサルタントが上司と連携しながら定期的なフォローアップを行い、継続勤務の支援を行いました。
<その後の経過>
一年間休むことなく、継続して勤務を続けることが出来ている、との報告がありました。
本ケースの支援のポイント
復職は、不調になったストレス要因のある場所に戻っていく、ということでもありますので、準備をせずに復帰した場合、再休職のリスクは高まります。再休職しないためにも、復帰に際しての「準備性」が重要な課題です。
「準備性」とは、生活リズムの安定はもちろんのこと、自身が不調に陥った原因の理解や、再休職防止のための方略が検討できているかということです。当社の休復職支援においては、主にこの「準備性」を高めるアプローチを行っていきます。
本ケースのように復職後に適宜フォローアップを行い、継続勤務の支援を行うなど、アフターフォローにも時間と回数を重ねることが当社EAPの強みといえます。
また以下の記事では、休復職支援を社員のタイプ別に紹介していますので、是非ご覧ください。
社内や他社EAPでは難しい案件にもピースマインドは対応可能
社内のみでは、ハラスメント行為者に対するアプローチとしてのコーチングは難しい場合が多いと言われています。当社ではそういった問題へのアプローチも行っています。
ハラスメントがもたらす弊害は甚大であるため、多くの企業で経営上の重要課題としてハラスメント対策が認識されるようになりました。ハラスメントの被害を受けた方は多大な精神的ダメージを受けることとなり、最悪の場合、働く機会を奪われることにも繋がります。
また、ハラスメントが発生するような人間関係の良好でない職場では社員のモラル・モチベーションが減退し、生産性は著しく低下すると言われています。この他に、ハラスメントを受けたことで退職した社員が訴訟を起こす事案も増加傾向にあるため、企業としては、コンプライアンスや企業イメージの観点からも軽視できない問題となっています。
ハラスメント対策の中でも難しいと言われているハラスメント行為者に対するアプローチについて、EAPの活用事例をみてみましょう。
Case4:パワハラをした管理職へのコーチング依頼
<問題とこれまでの経緯>
上司の厳しい指導が原因で、部下がうつ病になり休職となった。同じ事態が今後起きないように、その上司に対しコーチングをしてほしいと人事部から依頼があった。
<ピースマインドによる支援>
当社のコーチングの中で、「怒りのコントロール」「アサーショントレーニング」「ストレスコーピング」の技法を用いて意識変容・行動変容を促す支援を行いました。
怒りのコントロールでは、指導とハラスメントの違いとして感情的にならずに仕事に関する指導を行うことを伝え、怒りの発生源を確認しながら感情をコントロールする方法を身につける支援を行いました。
アサーショントレーニングでは、相手の立場を尊重しながら、自分の意見や要求を伝えるコミュニケーションスキルを獲得します。
パワハラをした人の多くが、自身の上司との関係や家庭の問題などでストレスを抱えていることがあるため、ストレスコーピングを通してストレスを溜め込まないで、上手にストレスに対処する方法を身につける支援を行いました。
<その後の経過>
部下への指導態度が改善し、意識的に行動変容のアクションが継続できている、との報告をいただきました。
本ケースの支援ポイント
ハラッサーには高パフォーマンスな方も多く、成果を上げているために、指導だけでは改善が見込めない場合が多いです。ポイントは懲罰的な指導ではなく、適切なコミュニケーションスキルの獲得にあると考えられます。
EAPでは本人の話を傾聴し、ハラスメント問題が生じるに至る感情の流れを共に分析します。その上で、感情のコントロールや他者を尊重するコミュニケーション等を学ぶという方法をとりました。
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社内外の連携で課題解決をサポート
続いては、当社のEAPと、当社EAP導入企業(A社)の社内相談窓口が連携した事例をご紹介します。
Case5:育児・子育て中の社員向けの社外相談サービスとしてEAPをご活用
<問題とこれまでの経緯>
A社は社内にダイバーシティー推進部署を立ち上げ、育児・子育てをしながら働く社員向けに情報提供を実施するなど、両立支援を推進していました。そして育児休暇から復職した社員が、子育てと仕事の両立等に悩みを抱えるケースが増えてきたため、両立支援に関する社内の相談窓口を設置した結果、相談希望者が増加し、社内だけでは対応が困難となりました。
<ピースマインドによる支援>
社内相談窓口と当社のEAPで役割を分け、連携して育児・子育て中の社員向けの両立支援を進めました。具体的には、相談窓口を「社内」と「社外」に分けて「社内」は人事制度や福利厚生の相談、「社外」は個人のワークライフキャリア全般の相談として従業員にアナウンスするという整理をしました。
社外相談は当社のEAPコンサルタントが担当し、相談者の課題解決に向けて、現状の整理や優先順位の確認、必要な情報の提供を実施しました。
<その後の経過>
毎月コンスタントに社員が利用中で、職場や家庭以外の第三者の場として、状況の整理や悩み事の解決に活用いただいています。
このように当社のEAPは提携機関と連携ができることから、問題の根本的な解決に至る可能性が高いと考えられます。
以下記事では関連して、女性活躍推進の取り組みに向けたポイントをご紹介していますので、是非チェックしてみてください。
まとめ
本記事では前編・後編に分けて、EAPの活用事例とその効果をお伝えしました。導入の具体的なイメージを掴んでいただき、EAPを利用することで職場のメンタルケアにより力を入れていきましょう。
\前編記事はコチラ!/
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EAPとは、はたらく人の「はたらくをよくする®」ために、心理学や行動科学の視点から職場のパフォーマンス向上などに対し解決策を提供するプログラムです。
経営課題、人事課題、組織目標に応じて、セルフケア・プラン、ラインケア・プラン、スタンダード・プランなど最適なプログラムをコンサルタントがデザインします。他にも、職場のクライシスケアや社員のワークライフバランスを実現させたい等の課題にも解決策をご提供しています。ピースマインドのEAPはストレスチェックと連動した包括的なアプローチも可能です。
専用ホットライン、予約制カウンセリング(対面・電話・オンライン対面)など様々なチャネルを通じてサポートいたします。職場内やご自身に不安や悩みがある際や、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが欲しい時など、様々な場面でご活用をご検討ください。
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