部下の特性を見抜くには?組織の生産性を高めるチームマネジメントの手法について解説
皆さんはどれくらい部下のことを理解してますか。「素直でコミュニケーションはしやすいが締切意識が弱い」「自分の考えをあまり話そうとしないが、仕事は良くできる」など、部下それぞれに個別の印象を持っていたとしても、それらを具体的なマネジメント方法に活かせている方は意外と少ないのではないでしょうか。部下の特性・能力を理解し、それに合わせてマネジメントを行うことで管理のしやすさや部下のパフォーマンス向上につながります。
この記事では
・チームメンバーへのマネジメントの重要性
・部下の意欲と能力に合わせたマネジメントの仕方
・部下の生産性を高める仕事の配分や与え方
について解説します。
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近年注目されているチームマネジメントとは
近年、多くの企業が組織全体の「生産性向上」に向けた様々な取り組みを始めています。
その背景には働き方改革、人手不足、多様な働き方の受け入れなどが挙げられます。
労働人口の減少が進む中、働き方改革において労働時間法制の見直しや雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(※1)が求められているため、これまでの働き方の見直しが必要不可欠となっています。
そこで注目されているのがチームマネジメントです。チームマネジメントとは「管理職やリーダーが、チームの目標達成や生産性向上へと導くための手法全般」のことを指します。
組織全体で今まで以上のパフォーマンスを発揮し、目標達成するためには社員一人ひとりの強みを活かしながら、チームとして協力することが重要です。管理職においてはメンバーの特性やモチベーションを把握しつつ、変化に対応したマネジメントをすることで、会社全体の生産性向上が期待できます。
この記事では心理学の視点から、部下の意欲と能力に合わせたマネジメントの方法や部下の生産性を高める仕事の与え方について解説していきます。
能力×意欲のマトリクスで部下の特性を理解する
チームマネジメントを成功させるためには、部下の特性を見極め、それに合わせたマネジメントをすることが必要です。しかし、部下の特性を正確に理解するというのは簡単なことではありません。
例えば、同程度のパフォーマンスを発揮する社員の中でも、やる気がある方のパフォーマンスをより高く感じる可能性もあります。また、やる気もパフォーマンスも低い部下に対してどう接していいか悩んでしまうこともあるかもしれません。それぞれに異なる部下を正しく理解し、個別にマネジメントすることは、想像以上に難しいと言えます。
そこで今回は部下を「能力」と「意欲」の2軸を用いたマトリクスで、4種類の特性に分類して、それぞれに合わせてマネジメントする方法についてお伝えしたいと思います。
タイプA:能力も意欲も高い
能力も意欲も共に高い部下はわかりやすく「できる部下」です。上司のあなたも信頼して難しい仕事を任せることができるでしょう。このような部下に対しては、ある程度の裁量を持って進めてもらいながら、ポイントごとに報告を受けて、適宜フィードバックなどに入るようにしましょう。
タイプB:意欲は高いが能力が低い
意欲は高いがパフォーマンスが出ていない部下に必要なのは経験や技術ですから、上司はOJT形式でサポートすることが必要です。例えば外回りの場合、部下に同行して、部下がミスした時にすぐにサポートできる態勢を整える事で、部下の意欲を削がずに能力を伸ばすことが出来ます。
また、このようなタイプの部下には明確に「やりたいこと」がある場合があります。しかし、「やりたいこと」を任せることが能力的に難しい場合には「すぐには任せることはできないけれど、将来的に任せることができるように、今はこの仕事をやってもらいたいと思っている」ときちんと伝えましょう。何も言わずに仕事を変更すると、意欲が下がってしまったり、過小な仕事を与えられたと不満を感じさせてしまうかもしれません。
タイプC:能力は高いが意欲が低い
能力が高いのに意欲が低い部下は”出来ない部下“だと勘違いされることが多いです。しかし、仕事を頼めばしっかりとこなすことが出来るタイプです。このような部下に対しては、本人に仕事を任せながらも、道を外れないように時々報告をさせましょう。特にフィードバックが必要ない場合もあると思いますが、フィードバックでは部下がどのような価値観を持っているのかを知る機会としても活用できます。
タイプD:能力も意欲も低い
パフォーマンスも意欲も低い部下には、どう業務を任せればいいのかと悩む上司の方もいらっしゃるのではないでしょうか。能力も意欲も低い部下に仕事を教えることは骨が折れるものかもしれません。しかしタイプDの部下が意欲を高め、タイプBに変われるようにフォローすると、チームのパフォーマンスに良い影響をもたらすことができます。
意欲を上げるにはどうしたらいいのでしょうか?
例えば、チームの環境を盛り上げるムードメーカーとして仕事環境を整える役割としてなら、活躍できそうだという部下がいるとします。そのような場合には思い切って、仕事の成果以外の軸での活躍を促し、周囲がその活躍を認めるようにしましょう。どんな役割であれ、職場で必要とされることは仕事へのモチベーションを高めます。職場で意欲が出ない原因はどこにあるのかを明らかにすることで適切なマネジメント方法を見出すことが可能になります。
仕事の配分や与え方で部下の生産性を最大限に高める
タイプ別のマネジメントについてご紹介しましたが、部下それぞれに仕事をどう与えるかもチームマネジメントにおける重要な観点です。仕事の配分をそれぞれの部下に合わせることで部下自身の生産性が上がったり、マネジメントをする方にとってもチームの管理がしやすくなるというメリットがあります。
部下のキャパシティ100%に対して110%の仕事を与える
「仕事の量が多すぎないか・少なすぎないか」と心配になる上司は少なくありません。そんな時に思い出してほしいのが「キャパシティに対して110%の仕事を与える」ことです。
本人が対応できる仕事の負荷よりも、10%だけ多くの仕事を頼むようにしましょう。この110%という数字は「今よりも少し頑張ったらできること」の目安になります。
このパーセンテージは上司だけでなく部下とも共有するとよいでしょう。部下自身が今現在どれくらいのキャパシティがあるか、を数字に示すことで上司は部下のマネジメントをスムーズに行うことができ、お互いが納得の上で仕事を進めることができます。
また、そのキャパシティの数値が業務量なのか、それとも精神的負担なのかを確認することも重要です。日頃のコミュニケーションの一環として部下自身のキャパシティに気を配り、それを可視化することはマネジメントのしやすさにつながります。
部下に自分でやり方を考えてもらう
部下が初めて経験する業務では、負担が実際よりも大きく感じてしまう場合があります。業務を進行する上での不安や慣れなさによって右往左往してしまい、実際の業務負担以上の心理的負担を感じやすくなるのです。
これを軽減するのに有効であるのが、上司のもとで部下自身が仕事のやり方を考えるということです。例えば、「こういう業務を頼みたいと思っているんだけど、どうやって進めましょうか?」と聞いて部下に答えてもらいます。一度上司の承認を得た上で取り掛かることが出来るので、部下の心理的負担は軽減されます。また、上司は部下の業務を把握しているので、その後のフィードバックをスムーズに行うことができます。さらに、緊密な連携により上司と部下の信頼関係の構築、成功体験につながり、部下の成長を促します。
緊急時の業務の頼み方
普段と異なり緊急の案件が入った場合には部下の成長促進にまで気を回すことは難しいことも少なくありません。「明日の会議に急遽重要な資料が必要になった」などといった緊急の場合には、最も能力と意欲があって信頼している部下に頼みましょう。場合によっては、あなたが細かく指示を出して、それ通りにやってもらうことも必要かもしれません。
いざというときに右腕となる部下を持つこともチームの成果やマネジメント、個人の業務に追われている管理職の方々にとって重要です。
まとめ
組織全体の生産性向上が求められている時代において、部下の特性・能力に合わせたマネジメントは必須になってきています。
部下の特性や能力などから仕事の配分をそれぞれに合わせることで、チームのパフォーマンスを伸ばしていくことが期待できます。
また、チームメンバーの不調や異変を見逃さないことも管理職の役割として重要です。社員のメンタル不調に気づく方法や対応方法については以下の記事も参考にしてみてください。
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