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ストレスチェック後の集団分析の種類と活用方法を事例とともに徹底解説!

ストレスチェックを実施した後は、集団分析を行うことが推奨されています。しかし、


「どの分析方法を用いるべきか分からない」

「分析結果からアプローチを考えることが難しい」


など、集団分析の実施や活用についてお悩みの人事・管理職の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本記事では、ストレスチェック実施後の集団分析の活用方法について事例を交えながらご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.ストレスチェックを活用するためには集団分析が重要
    1. 1.1.集団分析の実施が課題の要因を知る手がかりとなる
    2. 1.2.集団分析の実施までの流れと注意点
  2. 2.効果的な分析方法は問題意識によって変わる
    1. 2.1.集団の健康リスクのレベルが知りたいーストレス判定図がオススメ
    2. 2.2.属性ごとの結果が知りたいークロス集計がオススメ
    3. 2.3.集団の傾向を細かく知りたいークラスター分析がオススメ
    4. 2.4.ストレス度に影響する要因が知りたいー重回帰分析がオススメ
    5. 2.5.「やりがい」に関わる要素の分析もできる
  3. 3.まとめ
  4. 4.ピースマインドの提供する「はたらくをよくする®」サービス
  5. 5.5.参考資料


ストレスチェックを活用するためには集団分析が重要

集団分析の実施が課題の要因を知る手がかりとなる

2015年の労働安全衛生法の改正により、従業員が50人以上いる事業所に対して、ストレスチェックを実施することが義務付けられています。ストレスチェックの実施は、従業員が自身のストレスの状況を知り、さらに事業者が職場改善活動を行うことで、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としています(※1)。


そしてストレスチェックの結果から集団分析を行い、職場改善の施策を検討することが可能になります。集団分析では、個人のストレスチェックの結果を集団ごとに集計・分析し、分析結果から事業場や部署単位でストレス度の特徴や要因を把握することができます。


集団分析と職場改善活動は努力義務とされているため、実際に行わなくても罰則等はありません。しかし、ストレスチェックを実施するだけでは、組織において潜在化されているストレス要因を的確に把握し、対応することは難しいでしょう。

2年連続高ストレス者の割合

ピースマインドが2020年に行なった調査から、ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された方のおよそ半数が、前年のストレスチェックでも高ストレスの判定を受けていたことがわかりました(※2)。このことから、多くの高ストレス者が適切なサポートが受けられていない可能性が示唆されます。



ストレスチェックで判明した高ストレス者や高ストレス者が多い組織に対して、有効なアプローチを行うためには、まず集団分析を行なって課題の詳細を分析することが重要になります。そうすることで、課題に対して有効な改善策を考えることにつながるでしょう。


ストレスチェックを活用した職場改善活動のポイントについては、以下の記事で解説しているので合わせてぜひご覧ください。

\クリックして記事を確認する/

  高ストレス者の放置がリスクに?ストレスチェック実施前後のポイントを解説|ピースマインド株式会社 はたらくをよくする お役立ち情報 - ストレスチェックを行った企業から、「誰(人・組織)に対して、どのような施策を打つべきかわからない」と ピースマインド株式会社


集団分析の実施までの流れと注意点


ストレスチェック実施~集団分析までの流れ

ストレスチェックの結果自体は、従業員本人に通知され、事業所は従業員の同意がない限り、結果を知ることができません。一方、集団分析の場合は、従業員の同意を取らなくても、実施者から事業所に集計・分析結果を提供することができます(※3)。


ただし、その場合はストレスチェック受験者のうち、分析を行う単位の人数が10人以上であることが条件になります。これは、分析結果によって個人が特定されるのを防ぐことを目的としています。


分析の単位が10人未満の場合、分析の対象となる従業員全員の同意を得なければ、事業所に分析結果を提出することができません。ただし、後に解説する「仕事のストレス判定図」を分析に使用する場合は、従業員の同意なく事業所に結果を提出することが可能です。しかし、あまりにも分析の対象人数が少ない場合は、個人が特定されるおそれがあるため、実施の際は慎重に取り扱いましょう。


また、分析に用いる集団の単位について、企業全体だけでなく部署やプロジェクトチームなど、状況に応じて単位の構成を変えることができます。そのため、分析結果によって改善策を講じるべき組織の優先順位を把握することができます。


ここからは、具体的な集団分析方法を活用した取り組みを事例を交えながら解説していきます。
  

効果的な分析方法は問題意識によって変わる

集団分析にはさまざまな方法があります。課題ごとに適切な分析方法を採用することが望ましいですが、課題によっては、どのような分析方法を採用するべきか判断することが難しい場合もあるでしょう。


そこで本記事では、集団分析から職場改善活動までの流れの例と、3つの事例をご紹介し、それぞれに対応する分析方法を解説します。

※実際にピースマインドでお受けした相談内容をもとに、プライバシーに配慮し修正を加えてまとめています。


集団の健康リスクのレベルが知りたいーストレス判定図がオススメ

「職場のストレス度が一般レベルよりも高いのかどうかわからない」

「ストレスチェックを行なったけど、職場改善のための策を考えるべきなのだろうか」


このように職場改善活動を実施するべきかどうかわからない場合は、「仕事のストレス判定図」を用いることが効果的です。


「仕事のストレス判定図」は、集団を対象として目に見えない仕事上のストレス要因を評価し、それが労働者の健康にどの程度影響を与えているかを判定する分析方法です。あらゆる企業の従業員約3万人の平均を全国平均として、それを基準に相対的に評価を行います。


組織のストレス要因の程度や健康問題の起こりやすさ(健康リスク)の程度を全国平均と比べて把握することができるため、自組織に対して、早急にアプローチするべきかどうかがわかりやすくなります。


それでは、「仕事のストレス判定図」を用いた、職場改善活動の検討の流れの例について見ていきましょう。


仕事のストレス判定図事例

上記の例のように、「仕事ストレス判定図」を用いることで、組織の健康リスクを一目で把握することができます。ただし、全国平均と比べた偏差値だけしかわからない状態では、具体的な改善策の道筋を立てることが難しいため、より具体的な結果がわかる分析方法を組み合わせるとよいでしょう。


属性ごとの結果が知りたいークロス集計がオススメ

「組織や役職、全体としての結果は良好だが、なぜかメンタル不調者が増えている」

「ストレスチェックの結果は良好だが、社内で聞く話と一致しないところがある」


このように会社や部署全体の数値は良いが不調者の数が減らない場合は、クロス集計を用いることが効果的です。

クロス集計説明


クロス集計とは、ストレスチェックの各尺度のストレス度の得点と属性を掛け合わせる分析方法です。属性ごとのストレス度の特徴や傾向を把握することができるため、課題に対する緩和施策や予防策の対象を選びやすくなります。


事例を用いてどのような流れで分析を実施するのか見ていきましょう。


クロス集計事例

上記の事例のように、クロス集計を用いることで、従業員のどの層にアプローチするべきかなど対象を絞ることができ、それぞれの課題に対応する施策をより的確なものにすることが可能になります。


集団の傾向を細かく知りたいークラスター分析がオススメ

「高ストレスの職場の現状を確認すると部署ごとに様子が異なるため、それぞれの部署に対してどのような施策を展開するべきかわからない」

「高ストレス者の結果が全要素でまんべんなく悪く、予防策が検討しにくい」


このように不調者にどのようなケアが必要なのかわからない場合は、クラスター分析を用いることが効果的です。


クラスター分析説明

クラスター分析とは、ある集団において、ストレスチェックの要素の得点ごとに、パターンが類似している従業員や組織をグルーピングする分析方法です。


ストレスチェックの結果の傾向が類似した従業員をいくつかのパターンとして把握することができるため、それぞれのパターンに対応するアプローチの検討につながり、施策の効果を高めやすくなります。


どのような流れで分析を行うのか、事例を見ていきましょう。


クラスター分析事例

上記の事例のように、クラスター分析を用いることで、課題となっている要素別のグループにいくつか分けることができ、それぞれの課題に特化し、かつ具体的なアプローチを行うことが可能になります。


ストレス度に影響する要因が知りたいー重回帰分析がオススメ

「ストレスチェックの結果で特に悪かった要素がいくつかあるが、どこから手を付ければいいのかわからない」

「職場改善に毎年取り組んでいる部署があるが、なかなか結果が改善されない」


このようにストレス度への要因が多岐に渡り、アプローチの方法が定まらない場合は、重回帰分析が効果的です。


重回帰分析説明

重回帰分析とは、ストレスチェックの各要素がストレス度(結果指標)に与える影響を数値化して可視化する分析方法です。


ストレス度に対して特に強い影響を与える要素を把握することができるため、特定の要素に焦点を当てたアプローチを検討することができます。


こちらも事例を参考に、どのような流れで分析を実施するか見ていきましょう。


重回帰分析事例

上記の事例のように、重回帰分析を用いることで、課題を改善するために着目すべきポイントを把握することができ、有効的、かつ効率的なアプローチを考えることが可能になります。


「やりがい」に関わる要素の分析もできる

また、集団分析は、ストレスチェックで得られるストレス度のデータだけでなく、他の尺度に対して活用することもできます。例えば重回帰分析を用いて、ワークエンゲイジメントに強く影響を与えるポジティブな要素を検討することも可能です。

ワーク・エンゲイジメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態で、「仕事から活力を得ていきいきとしている(活力)」、「仕事に誇りとやりがいを感じている(熱意)」、「仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)」の3つが揃った状態として定義されています(※4)。どのような要素がワーク・エンゲイジメントに影響するのかを特定することで、社員の活力、熱意、没頭の状態を高めるための施策を考えることも可能になります。


ストレス度だけでなく、このような他の尺度に対しても集団分析を活用していくことで、より働きやすい職場環境を作ることができるでしょう。

  

まとめ


集団分析まとめ

今回は、問題意識に対応した効果的なストレスチェックの分析方法についてご紹介しました。


集団分析は、職場改善活動を行う上で非常に有効な手段であると考えられます。問題意識ごとに様々な分析方法を試して、より効果的な職場改善ができるよう、集団分析を有効に活用していきましょう。


ピースマインドの提供する「はたらくをよくする®」サービス

ピースマインドでは、「ストレスチェック義務化法案の対策」「組織の健康リスクの計測」「高ストレス者の把握と適切なサポート」「ストレスチェックの活用」等の様々なニーズにお応えして、より包括的なサポートを行っております。


具体的にはストレスチェックの実施と共に、医師面接指導の支援やそのフォローアップを行う高ストレス者ケアプラン、追加の集団分析や組織ごとの課題解決を行う職場課題解決プランをご用意しております。


特に職場課題解決プランでは、今回ご紹介した集団分析を活用して、職場における課題の解決策を提案し、実施していきます。


ストレスチェックをより効果的に活用して、はたらく人全員が笑顔でいきいきと働ける職場を目指しませんか?


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5.参考資料

※1:厚生労働省 ストレスチェック制度 導入マニュアル

※2:ピースマインド 2020年度ピースマインドストレスチェック白書

※3:厚生労働省 ストレスチェック制度導入ガイド

※4:厚生労働省 令和元年版労働経済の分析 第3章第1節

玉井 敬一郎(たまい けいいちろう)
玉井 敬一郎(たまい けいいちろう)
ピースマインド株式会社  組織支援コンサルティング部 部長  公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント(CEAP) <専門分野> 組織・管理職コンサルテーション、ストレス・マネジメント、ラインケア、キャリアカウンセリングなど 大学院博士課程単位取得満期退学後、EAP提供会社にて働く人へのカウンセリング、管理職や人事、産業保健スタッフへのコンサルティング、研修講師などの業務に携わる。その後、英国ロンドン大学にて、Occupational Psychology/Organizational Behaviorの修士号をおさめ、2013年よりピースマインドにて、EAPやストレスチェックを用いた職場改善施策に関する組織コンサルティング業務に従事。

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