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前編|EAP(従業員支援プログラム)は本当に効果がある?事例を用いて解説【一般社員編】

従業員支援プログラム (Employee Assistance Program、以下EAP) とは、職場のパフォーマンスを向上させるために、心理学や行動科学の観点から「はたらく人」と「企業」に解決策を提供するプログラムです。


EAPについて基礎知識はあるけれども、実際どのように活用されているのかイメージがわかない、という人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事ではピースマインドのEAP導入事例を用いてその効果をお伝えし、担当者の皆さまにEAPの具体的なイメージを掴んでいただければと思います。


なお本記事は前編・後編に分けてお届けします。前編では社員個人の方から当社に寄せられた相談を、後編では人事・管理職の方々から寄せられた相談を中心にご紹介します。

  後編|EAP(従業員支援プログラム)は本当に効果がある?事例を用いて解説【人事・管理職編】 今回は、管理職や人事の方から当社に寄せられた相談ケースを紹介します。 <この記事でわかること> ・EAPの活用事例と効果 ・ピースマインドが提供するEAPの特徴 ピースマインド株式会社

➤お役立ち資料のダウンロード「EAPサービス相談事例集

目次[非表示]

  1. 1.EAPサービスの導入・継続利用が社員のストレス度改善に効果あり
    1. 1.1.コロナ禍でニーズが高まるEAP
    2. 1.2.EAPの継続的な導入により、社員のストレスは改善傾向に
  2. 2.EAPではあらゆる相談が可能
    1. 2.1.EAPは気軽にプライベートな相談もできる
    2. 2.2.EAPでハラスメントの対処を考える
  3. 3.まとめ
  4. 4.ピースマインドの提供する「はたらくをよくする®」サービス
  5. 5.参考資料


EAPサービスの導入・継続利用が社員のストレス度改善に効果あり

コロナ禍でニーズが高まるEAP

コロナ禍で当社の相談窓口に寄せられた2020年度の相談件数は、12月末時点で前年度比27.2%の増加となりました(※1)。


コロナ禍といった社会も企業も変化する状況下において、社員にとってのセーフティーネットとしてのEAPの存在意義が、これまで以上に高まっていると考えられます。


EAPの継続的な導入により、社員のストレスは改善傾向に

当社が提供するEAPの導入と、はたらく人のストレス度の軽減への効果についての分析調査を行った結果、EAP導入企業の社員においては、そうでない企業の社員に比べて、ストレス度が良化していく傾向にあることが分かりました(※1)。


具体的には、EAPを継続して導入している企業の社員とそうでない企業の社員のストレス度の差は、1年目ではその差は約0.3ポイント、2年目には約1.1ポイントとなり、継続的に導入している企業において統計的に有意な改善が見られました。

ストレス度でみるEAPの導入効果


これは相談者がカウンセリングを活用し、一人で抱えていた課題の解決サポートをEAPによって得られたことなどが、ストレス度の良化に寄与していると考えられます。


次章からはEAPの活用事例をご紹介し、EAP導入から導入後までの具体的なイメージを見ていきましょう。


EAPではあらゆる相談が可能

EAPは気軽にプライベートな相談もできる

Case1:仕事や家族の悩みが重なって、夜も眠れません。

<問題とこれまでの経緯>

相談者は業務が多忙な中、母親の介護なども重なり、余裕のない状態が継続していました。夜も考え込んでしまい、疲れているのに寝付けない日が続いています。

気分の落ち込みや頭痛など、自身の体調に不安はありますが、職場も繁忙期であることから誰にも相談できず、EAPカウンセリングの利用に至りました。


<ピースマインドによる支援>

初回のカウンセリングでは、健康状態の把握、仕事の状況やプライベートの問題について整理を行いました。現時点では業務負荷にプライベートの負荷が加わり、心身不調が生じているため、いったんプライベートの問題が落ち着くまでは上司と相談し業務の調整を行うよう勧めました。

健康状態が芳しくないため、相談者の最寄りの医療機関に関する情報や受診の仕方のポイントを伝え、受診を勧めました。

そして2回目以降のカウンセリングでは、初回に立てた計画の進捗を相談者と共に確認しました。

例えば、

①まずは業務が安心してできるよう、介護などの問題に関して、行政サービスのリソースの確認、兄弟などと相談するなど別資源での対応について検討することを勧める。

②ある程度健康状態が回復した後、地域のリソースとも繋がり、母親のケアの体制が整備され、兄弟からのサポートを得られるようになったら、そこから再度、業務体制を元に戻していく。

のように進めていきます。


<その後の経過>

相談者は医療機関を受診し、薬を飲んで状況を見ることになりました。夜は眠れるようになり、仕事の調整も進んできているとの報告がありました。プライベートな問題についても、「カウンセリングを行ったおかげで自分の状況が整理できた。相談当初は家庭の問題も仕事の問題もこなさなければいけないという焦りと不安が強かった。カウンセリングを受けて、対応すべき優先順位や自分の心身状態に気づけて良かった。」との感想をいただきました。


本ケースの支援のポイントは2つです。

・初回のアセスメント*を通して、「職場でのパフォーマンスの視点(事例性)」と「症状や病名などに関すること(疾病性)」で問題を切り分けました。

(*状態や状況を把握し、必要な支援について検討したり、見通しをたてること。)

・事例性の観点からは職場環境調整に向けたアドバイスを、疾病性の観点からは医療機関情報の提供を行いました。

EAP活用事例 Case1


このように、EAPでは仕事の悩みだけでなく、社員のプライベートの悩みにも丁寧に対応することが可能です。


EAPでハラスメントの対処を考える

EAPでは、ハラスメントを受けている場合にも、対応方法や心理的ケアについての相談をすることができます。


まずは問題発生時あるいは、ご相談を受けた際の対応です。はじめに社員の方からの相談事例を紹介します。相談内容に基づきプライバシーに配慮して修正を加え、まとめています。 


Case2:上司から執拗に繰り返される「精神的な攻撃(ハラスメント)」に関する相談

<問題とこれまでの経緯>

相談者の40代男性は、現在の会社で20年近く勤務しています。10年間同じ上司の下で働いていますが、数年前より毎日職場で一方的に怒鳴られるようになりました。業務に関して理不尽な怒られ方やきつい問い詰められ方をしており、酷いときは数時間に及ぶこともあるため、かなりのストレスになっています。半年ほど前から上司の言動が酷くなり、それ以降あまり眠れなくなりました。時々過去に言われたことを思い出して不安になったり、気分が落ち込んだりします。

最近はずっと疲労感や不安感もありますが、現在通院はしていない状況です。会社を辞めるか社外に訴えるか考えましたが、本当にそれで良いのかと思い、同じような被害を受けている同僚と話し合い、会社が契約をしているEAPに連絡をすることにしました。社内のコンプライアンス窓口にも報告する予定です。


<ピースマインドによる支援>

①対処フェーズ

「まず相談者の苦しみを上司に伝えることはできないのか確認し、上司の意識としては指導と認識されている可能性をお伝えしました。実際上司に伝えたら、言い方を変えてくれたり、謝罪され態度を改めてくれたという例もあり、上司に状況説明をすることがハラスメント予防につながる場合もあります。

相談者は上司からのハラスメントについて、会社のコンプライアンス窓口へ連絡をする予定とのことでした。そこで、当社と会社のコンプライアンス窓口との間で連携が可能であることをご案内しました。相談者の方が会社に伝えにくい、どう伝えて良いかわからない等の悩みがある場合、EAPが連携することで、相談者のメッセージや心身症状についても伝えることができます。

そして相談者のハラスメント状況の詳細や心身の状態について聞き取りを行い、不眠や慢性的な疲労感などの身体症状があることから医療機関の受診を勧めしました。その結果相談者も了承し、自身で医療機関を調べて受診するに至りました。


②事後対策フェーズ

2〜3週間後、相談者にフォローの電話をすることを伝えました。


本ケースの支援ポイントは2つです。

・相談者が利用可能なリソース(資源)の活用方法を提供する

・相談者の心身の状態を見立て、必要あれば専門機関へ紹介する


相談者様が抱えている問題をEAPに相談していただくことで、課題の整理を行い、必要に応じて専門機関への紹介やリソースの活用法の提供など、効果的なアプローチを行うことができます。また、紹介した事例のように自身だけでは解決が難しい場合には、相談者本人の意思を確認しながら、組織としてのアプローチを行うことも可能です。

EAP活用事例図表 case2


このようにハラスメント相談に対しても、相談者の問題の要素を整理し、課題解決・再発防止などの観点で必要なアプローチを取ることがEAPの重要な働きとなります。


そのため、紹介したケースでは主に医療機関の受診を促しましたが、他のケースでは課題への効果的なアプローチとして他の解決法を提案することもあります。

例えば、ハラスメントの事例などにおいて、相談者が上司への恐怖感から常に業務において緊張感が生じやすい状況であれば、リラクセーションやマインドフルネスなどの対応をします。また、上司からのアプローチをすべてネガティブにとらえてしまう場合は、思考パターンや認知の再構成などのアプローチを行うこともあります。


まとめ

本記事ではEAPを導入する意義を解説し、EAPの活用事例とその効果をお伝えしました。導入の具体的なイメージを掴んでいただき、EAPを利用することで職場のメンタルケアにより力を入れていきましょう。


なお後編では、「人事・管理職」の方から当社に寄せられたEAP相談ケースを紹介しますので、是非併せてチェックしてみてください。


ピースマインドの提供する「はたらくをよくする®」サービス

EAPとは、はたらく人の「はたらくをよくする®」ために、心理学や行動科学の視点から職場のパフォーマンス向上などに対し解決策を提供するプログラムです。


経営課題、人事課題、組織目標に応じて、セルフケア・プラン、ラインケア・プラン、スタンダード・プランなど最適なプログラムをコンサルタントがデザインします。他にも、職場のクライシスケアや社員のワークライフバランスを実現させたい等の課題にも解決策をご提供しています。ピースマインドのEAPはストレスチェックと連動した包括的なアプローチも可能です。


専用ホットライン、予約制カウンセリング(対面・電話・オンライン対面)など様々なチャネルを通じてサポートいたします。職場内やご自身に不安や悩みがある際や、メンタルヘルスに関する知識やアドバイスが欲しい時など、様々な場面でご活用をご検討ください。

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参考資料

(※1)ピースマインド、九州大学主幹教授 馬奈木俊介研究室 「EAPの導入と働く人のストレス度の軽減への効果についての分析調査」

武田 英彦(たけだ ひでひこ)
武田 英彦(たけだ ひでひこ)
ピースマインド株式会社 組織支援コンサルティング部 EAPスーパーバイザー 公認心理師 臨床心理士 国際EAPコンサルタント(CEAP) 【専門分野】産業領域におけるカウンセリング、組織へのコンサルテーション(休復職支援・職場改善活動支援ほか)、ハラスメント事案調査、コーチング 飲食業にて店舗運営スーパーバイザー、番組企画制作会社にてテレビ番組の企画制作を担当。 その後、退職し心理系大学院に進学、臨床心理士の資格を取得。 国立精神・神経医療研究 センターでの臨床検査、東京都知事部局において、職員のメンタルヘルスケアに従事。 その後、ピースマインド株式会社に入社。現在、EAPコンサルタントとして社員と企業向けのコンサ ルティング業務を担当。

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