今回のご相談者
製造業M社 人事総務部 社員数900名
M社ではピースマインドのストレスチェックを昨年度から導入。柴崎さんは今年からストレスチェックの担当になった。健康経営優良法人の取得を目指す会社の方針で、職場改善施策を検討するにあたり、ミスターパインのもとに相談に訪れた。
お助けマン
EAPやストレスチェックなど、ピースマインドが提供するサービスのご担当者が抱える課題を解決し、企業にお勤めの皆さまの「はたらくをよくする®」ことに喜びを感じながら日々活動している相談役。趣味は英会話。
柴崎さん「パインさん、こんにちは。準備の進め方などいろいろご説明ありがとうございました。今年から担当になったので分からないことも多くて、とても助かりました。無事に受検を迎えられそうです。」
パイン「That’s good to hear! 受検中も何か困ったことがありましたら何でもお声がけください。」
柴崎さん「ありがとうございます。実は受検が終わった後の結果の活用について、1つ相談がありまして。『健康経営への取り組みとして、ストレスチェックの結果をより活用していく方法を考えてくれ』、と言われまして。」
パイン「I see. 集団分析結果の活用、ということですかね。これまではどうなさってたんですか?」
柴崎さん「これまでは人事担当者から部門長レベルに結果を渡すところに留まっていました。結果の読み方とかの説明はしていたみたいですが…。私は去年まで営業部にいたんですけど、ストレスチェックの結果が何か話題に上るようなことはなかったですね。」
パイン「柴崎さんとしてはどう活用していきたいな、といった考えはありますか?」
柴崎さん「やはり結果を職場環境の改善に使っていきたい、というのは思っています。メンタル不調者が増えていることは部内でも喫緊の問題だと話になっていて。トップから健康経営のメッセージも打ち出されて後押しにはなっているので、現場にもっと役立つものにしたいです。」
パイン「経営から明確にメッセージが打ち出されているのは心強いですね。何のために取り組むのかが示されないと、現場にとってはただの”押しつけ”になってしまいますからね。」
柴崎さん「はい。会社としても方向性は出ているので、現場の課長クラスの管理職には、職場改善を考える材料としてうまく使ってほしいなと思っています。とはいえ、今までやってこなかったことでもあるので、気を付けた方が良い点などパインさんにアドバイス頂けたらなと。」
パイン「That’s right. まずは分析結果の利用方法や、目的を共有する範囲などは、あらかじめ衛生委員会などできちんと審議しておくことが大事です。『ストレスチェックの結果が上司に知られると、何か不利益を被るのでは』、といった社員の不安要素はしっかり払拭しておく必要があります。」
柴崎さん「確かに…。従業員満足度調査に回答する際も、ちょっと不安だった気がします(笑)。人事に来てみたら、ちゃんと扱われていると知って安心しましたが。」
パイン「あとは、特に初めてのときは、管理職の方へのインプットを丁寧にやることが大事ですね。先ほど述べた目的や主旨はもちろん、結果の読み方なども丁寧に説明する場を作る取り組みはした方がいいかもしれません。」
柴崎さん「管理職を集めるのもなかなか大変で…。レポートも結構見やすいですし、読み方マニュアルもあるので大丈夫な気もするんですけど、やはりそういう場があった方がいいんですかね?」
パイン「That’s correct, データを活用するリテラシーはやはり個人差が大きいので、最初は丁寧すぎるくらいで良いと思います。あとは、先ほど述べたように、従業員に不利益が生じないようにするために、データの扱い方をしっかり説明する、という意味もあります。」
柴崎さん「値が低かった時に犯人探しになっちゃうのは怖いですよね。『”職場でいじめを受けている”ってつけたの誰だ!』みたいな…。」
パイン「For example, 『うちの部署には高ストレス者が〇人いるから、心配な人がいたら教えてほしい』みたいに善意で本人が言っていても、それを職場で言ってしまったら『誰だろう?』ってなってしまいますよね。
あとは逆に、管理職自身がショックを受けてしまったり、不快に感じたりしてしまって、本来の目的とはずれた悪影響が出る可能性もあるんです。」
柴崎さん「確かに自分が管理職だったら、結果が悪かったらデータ見て落ち込んじゃうかもしれません。通知表みたいな…。」
パイン「そうならないためにも、結果の見方だけでなく、どう活用してほしいかも含めて、丁寧にアナウンスをする必要があるんですよね。
Also, 職場改善について、初年度からあまりハードルを上げないことも大事です。気合が入っているとあれもこれもと盛り込んで、改善策を書くのや運用が大変なフォーマットを準備してしまい、現場で結局運用されない…みたいなこともよくあります。」
柴崎さん「管理職も多忙ですし、いきなり現場で反発を招いてしまったり、逆にストレスになってしまったら、本末転倒になりそうですよね。」
パイン「Therefore, 職場改善については、まずは日々の延長や+αでできる小さなアクションで構わないので、それを実行して、やりっぱなしにせず振り返る、ということを大事に出来ると良いと思います。」
柴崎さん「必ずしもすぐに結果が出るものではない、ということですよね。まずは現場が第一歩を踏み出せるように、やり方を考えていきたいと思います!またご相談にのってください!」
厚生労働省の令和4年度労働安全衛生調査では、ストレスチェックの集団分析を実施した企業が全体の約73%、そのうち分析結果を活用したと回答した企業が約82%となっています。つまり、分析結果の活用に至っている企業は全体の6割にも満たないと言えます。
分析内容の活用内容としては、残業時間削減や休暇取得に向けた取り組み、衛生委員会等での審議などが上位に挙がり、管理職や労働者向けの研修は約3割、従業員参加型の職場改善の実施に取り組んでいる企業は1割にも満たず、現場を巻き込んでの職場改善を行っている企業は必ずしも多いとは言えません。
ストレスチェック自体は、労働者自身が自らのストレスに気づきケアをすることも目的ですが、職場改善という目的に向けては、やはりその結果が現場にフィードバックされ、活用されていくことが大きな意味を持つと考えられます。
職場改善施策に取り組んでみたけれどうまくいかない…という場合に見られる、代表的な原因と職場の反応の例を以下に紹介します。
柴崎さんの場合は、幸い経営層からのメッセージははっきり打ち出されており、その重要性の理解自体は後方支援が得られそうですね。一方、初年度ということで目的の浸透や、理解を深めるための施策(上記パターン1)はかなり丁寧にやる必要がありそうです。
また、「しっかりやろう」、「成果を急いで出そう」とするあまり、現場の負担感が重すぎるやり方になりがちなのも、初年度に陥りやすい罠と言えます(上記パターン2)。企業にもよりますが、そもそも浸透・定着には何年もかかるものと考え、初年度はまずは確実に実行できそうで負担が少ないこと、その中でも管理職自身が小さな成功体験を積めるようなアプローチが効果的かもしれません。
ピースマインドでは、初めて職場改善に取り組む企業から、施策が形骸化して次の打ち手に悩む企業まで、多くの企業の職場改善を支援しております。目的や組織の状態に応じて打ち手をご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
・ストレスチェックの結果を職場環境改善に活かすには、現場管理職を巻き込むことが大切
・職場改善の浸透はある程度長い目で。初年度は目的の明確化や、丁寧な理解の定着支援が大切
・まずは現場の負担感を考慮した、小さな成功体験を積める施策から