【調査結果】はたらく人が抱えるストレスに伴う経済的損失は、男性で生涯平均約6000万円に

企業向けに『はたらくをよくする®』支援事業を展開するピースマインド株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:荻原英人、以下「ピースマインド」)は、九州大学 馬奈木俊介教授と協働し、ピースマインドが企業向けに提供するストレスチェック 「職場とココロのいきいき調査®」(以下「ストレスチェック」)の3年間のべ約100万件のデータをもとに、ストレスが及ぼす経済的損失についての試算を行いました。

はたらく人のストレスは、万人が抱える社会にとっての大きな問題である

約100万件のデータのストレス度を分析したところ、下の図のように山なりの分布となりました。つまり、不安や抑うつ感、活気のなさといったストレスに起因する心身の不調は、特定の一部の人だけに偏って起きているものではなく、程度の差こそあれ万人にあらわれているものであるといえます。


ストレスに伴う損失は、男性(*1)一人あたり生涯平均約6000万円に

九州大学都市研究センターの調査(*2)から、ストレスが低い人ほど年収が高い、という相関関係があることが明らかになっています。そのデータをもとに、ストレスとの相関から導かれる男性1人あたりの年間経済損失額(*3)を計算したのが以下のグラフです。年間平均損失額は約100万円で、山なりの分布を描いています。ストレス状況が変わらず、25歳の平均的な男性がそこから40年間働いたと仮定すると、生涯では平均6000万円程度の損失となります。

はたらく人のストレスに向き合うことは、企業の永続的な課題である

これらのことから、ストレスがはたらく人すべてにとっての問題であり、その経済的損失が少ない額でないことが分かります。ストレスが0になることは決してありませんが、少しでも社員のストレスを軽減し、「はたらくをよくする®」取り組みを続けていくことは、はたらく人が長く働き続け、企業が持続して成長していくために、非常に重要な経営テーマとなっているといえるでしょう。

【リサーチ・アドバイザー 九州大学馬奈木俊介教授のコメント】

約100万件のストレスチェック・データから分かることは多いです。ストレスが現れる特性を分析していきます。
今回は、早期に問題を解決することによる企業側のメリットが非常に大きいことがわかりました。

【馬奈木俊介氏 略歴】

九州大学大学院工学研究院 都市システム工学講座 教授
九州大学都市研究センター長・主幹教授
九州大学大学院工学研究科修士卒、米国ロードアイランド大学大学院博士課程修了(Ph.D.(経済学博士))。
米国サウスカロライナ州立大学ビジネススクール講師、東京農工大学共生科学技術研究部助教授、横浜国立大学経営学部准教授、東北大学環境科学研究科准教授を経て、2015年より九州大学大学院工学研究院都市システム工学講座教授。経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェローを兼任。
国連「新国富報告書2018」代表、国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」代表執筆者、国連「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)統括代表執筆者、 OECD(経済協力開発機構 貿易・環境部会)副議長、2018年・世界環境資源経済学会共同議長、ドイツ・The Helmholtz Alliance ENERGY-TRANS特別教授、英国・リーズ大学チェーニー上級フェロー、豪州QUT客員教授、仏・ISEGマネジメントスクール客員教授、慶應義塾大学特別招聘助教授、東京大学客員教授などを歴任。
馬奈木俊介研究室:http://www.managi-lab.com/

 

*1)今回の分析では、女性については、ストレスと年収に有意な相関が見られませんでした。働き方の違いや産休・育休なども含め、キャリアが男性以上に多様であることが理由であると考えられます。また、女性の方が家事・育児・介護などの賃金が支払われない労働を多く担っている傾向にあると考えられ、その点について考慮せず市場における賃金のみで算出した場合、女性のストレスによる経済的損失を過少評価してしまう危険があります。

*2)九州大学都市研究センター・国際調査(2015)による。本データベースは、国際学術雑誌"Relative Income, Community Attachment and Subjective Well-being: Evidence from Japan", Kyklos誌(2019)、 "Multinational Life Satisfaction, Perceived Inequality and Energy Affordability", Nature Sustainability誌(2019)等にてこれまで出版しています。

*3)損失額は以下の式で疑似的に試算しています。
例:Aさんの年間経済損失額=
   (ストレス状況が最も良い人々の平均年収)-(Aさんと同じストレス状況の人の平均年収)
  
また、*2の調査では、個人の精神的健康を測定するテストであるGHQ-12(精神健康調査票)を用いてストレス状況を算出しており、本試算ではこの値を疑似的にストレスチェックのストレス度に読み替えて計算しています。

 

【参考情報】

ストレスチェック 「職場とココロのいきいき調査®」
https://www.peacemind.co.jp/service/stresscheck

 

【取材等のお問い合わせ先】

ピースマインド株式会社 広報PR室
電話:03-3541-8660
メール:press@peacemind.co.jp
担当:末木(すえき)
お問合せ:https://www.peacemind.co.jp/contact/form

【プレスリリース】20201002_はたらく人が抱えるストレスに伴う経済的損失は、男性で生涯平均約6000万円に.pdf